9/22土
朝、6時半に起きた。
やはり寒い。
長袖シャツ1枚とはいえ、あったかダウンを着ているので、寒いとは感じなかったが、外気に触れる手や顔は冷たかった。
昨日の下山時から前兆はあったが、やはり筋肉痛だ。
見渡すと、昨日からのテントはまだ残っている。私のように2泊してチャレンジしている人もいるのだろうか、わざわざ北麓野営場でテントを張るのだから登山の人だろう。
フェリーは8時半だし、30分前の8時に間に合うには十分な時間がある。北麓野営場からは5キロもないだろうから慌てることもない。
この北麓野営場のトイレは実に素晴らしい。
まだ片手で数えるほどのキャンプ場しか行っていないが、かなり上位に位置するトイレだと思う。
まず、入口が24時間明るく、中は暗いが人感センサーにより、一歩中に入ると電気が点く。当然水洗で、大便はウォシュレット付きで、まさかの便座ヒーターが効いている。
夏とはいえ、朝晩は一桁気温になる利尻山登山口でこのもてなしは嬉しい。
さらに、洗った手を乾かすヤツ(ジェットタオルだったと思う)まで完備されていた。
これであと手洗いが自動でお湯が出てきたら、新東名のSAのトイレと同レベルだと言える。
朝のうちは晴れているかと思っていたが、曇天模様だ。この調子ではいつ雨が降り始めてもおかしくはない天気だ。
フェリーに乗船したバイクはBMWと私のNC700の2台だけだった。車は行きと同じ12台だった。
私の出で立ちや装備を見て、「山登ったのですか?」私「昨日登りました。」「昨日はいい天気で良かったですね。私も登りたいとは思いましたが。どれくらいの時間がかかりました?」「登り6時間、下り4時間の10時間くらいです。」「やはり、素人が登る山ではないですよね」
利尻島に来て利尻山に登らない人は何をしに利尻島に来るのだろう。
山頂で会った人たちも行くと言っていたが、多くの人は利尻島と礼文島をセットでめぐるらしい。私は利尻山に登ることしか考えていなかったので、礼文には行かなかった。
バイクは先に乗船するので、座席は自由に選べる。結局、行きと同じ座敷席をキープして、甲板席に行った。
出航後しばらくは、利尻山の写真を撮ったり、甲板の周りを飛び回るウミネコを撮っていたが、しばらくして戻ると、椅子席やソファ席、座敷席も満席に近い状態だったので非常に驚いた。
北海道に来て何日が経ったかもわからないが、今日は9/22の土曜、3連休の初日なので混んでいたのだ。
8時半利尻発で10時10分稚内に到着した。
同船していたBMWの人は、網走まで行くと言っていた。
稚内まで北上した道を引き返したのでは芸がないと思い、サロベツ原野を走って南下してから東に抜けておこっぺに行くことにした。
サロベツ原野を左手に、右手に利尻山を眺めながら走っていると、昨日あの山に登ったんだ、としみじみと思った。深田久弥が利尻山の見て「山が島なのか、島が山なのか」と言ったらしいが、言い得て妙だ。
さらに「利尻島は利尻山だった」という言葉にも納得だ。利尻島は利尻山に始まり利尻山に終わる。
下りオロロンライン序盤は利尻山を思いながら走れて楽しかった。
苫前から国道239を内陸に入って、北上する国道275との交差点付近に霧立亭という蕎麦屋があった。ツーリング本に載ってた蕎麦屋かと思って、一度は通り過ぎたが、13時半を過ぎていたので昼メシでも、という思いもあって、戻って立ち寄った。
冷やしおろしそばというのを頼んだのだが、思っていたのと違うものが出てきた。
私がイメージしていたのはもりそばに辛味大根とつけ汁だったが、出てきたのは大きなどんぶりに蕎麦と大根おろしが入ったものだった。
蕎麦湯がついていたので、ん?
と思ったが、しょうがない。
麺の味といい、ツユの味といい悪くない。
おろしがちゃんと辛味大根なのがいい。
この店はもう一度来てみたいと思える蕎麦屋だった。ちゃんともりそばに辛味大根で食べてみたい。蕎麦湯のにごり具合もよく、味も良かった。ただ、もう一度この店に来ることは非常に困難なことだと思う。
店を出ると地元の人たちが私のバイクの周りに集まっていた。「にいちゃん、これ、倒したら1人で起こせるんか?」「いえ、無理です」「そうやろ、わし何度も助けとる」「はい、私も何度も助けられてます」お互いに笑いながら別れた。
雨が降る予報だったので、ザックには両方ともザックカバーをつけなかったが、上下のカッパとウィンターグローブを用意しておいたのが功を奏した。
気温は14度ほどでも雨が降ると体感温度は一桁になる。
インナーにはモンベルのスーパーメリノウール M.W.を上下着込み、ウインドストッパージャケットの上にさらにコロンビアのジャケットを着た。
今回の北海道旅行で初めて着たカッパが風雨を防いでくれたので、寒さは全く感じなかった。
(そういえば自宅を出るとき土砂降りの雨だったのでカッパ上下を着たのだった)
16時前におこっぺに着いた。
誰もいない。鍵がかかっている。
道の駅で手続きをして開けてもらった。
ついでにゴミ袋も40円で購入した。
燃やすゴミ用とペットボトル・缶用の2種類あったが、缶などは自販機の横にゴミ箱があるからそこに捨てて良いとのことなので、燃やすゴミ用のゴミ袋を1枚購入した。
このゴミ袋だけは残していってよいとのこと。大きなコンビニ袋くらいの大きさで1泊程度なら十分すぎる。
明るいうちはガイドブックにでも書いてあるのだろうか、家族連れやおばちゃんグループが何組か物珍しそうに見ていた。
外は雨音が聞こえるほど強くなったり、霧雨になったりの繰り返しのようだった。
まだ明るいので、食べる場所はないかと町の中心部を彷徨いたが、食堂らしきものはすべて閉まっていた。
おこっぺアイスを食べに行ったが、震災の影響なのだろうか、ソフトクリームしか売っていなかった。
暗くなって18時頃になるとガラガラと扉を開ける音がしたので、誰か来たかと思ったら、道の駅のスタッフが手続きしていない人がいないか確認にきただけのようで、「今日は1人みたいだから大の字になってでも自由に使ってください。私はこれで帰りますので」と言って帰って行った。
雨といっても霧雨程度だし、気温も17度くらいあり、Tシャツに短パンでもない限りは寒くはない。
銭湯に行ったが、洗い場は9か所しかないのに7人もいた。湯船には5人も入れないだろうから満員状態だ。9/17~9/22まで老人無料の張り紙があったが、その影響か。
セイコーマートで夜ご飯を買ったが、稚内のみどり湯で自転車の人が「セイコーマート
のペペロンチーノは110円であのクオリティの高さはすごい」と言っていたが、その意味がわかった。おかげで、ルゴーサエクスプレス号がペペロンチーノのにおいで充満してしまった。今日が1人で助かった。
先日泊まった時は寝袋を使ったが、今回はテントマットを出して寝袋の代わりに備え付けの毛布を借りようと思った。
が、明け方寒そうなのでやはり寝袋を出して、その上に毛布をかけることにした。
私が先日洗濯機の横に置いて行ったアタックが洗面台のところに移動されていた。
おそらく道の駅の人が置いたのだろう。
根室のさんま祭りは明日の15時までらしい。
300キロの距離があるし、明日も昼ごろまで雨らしいので、さんま祭りは諦めよう。
さて、どこに行くか?
晴れていれば多和平に行きたいが、雨模様だし、どうしよう。
21時消灯。
雨が激しくなってきた。雨が降るとドライブレコーダーの調子が悪くなる。もう遅いかもしれないが、ビニールで包んでおいた。
最後におこっぺについて。
このおこっぺのルゴーサエクスプレス号はすばらしい。
目の前に公衆浴場がある。
(いわゆる銭湯なのでシャンプー等は自分で用意する必要がある。番台には何も売ってなかったと思う。今年はニコットでシャンプーとボディーソープを買ったが、確か昨年は番台で売ってないか聞いたら、忘れものだったか貸出用だったかを無料で貸してくれた。)
2個口コンセントが4か所ある。
洗濯機が無料で使える。(ただし、洗剤は自分で用意する必要がある。)
車両にトイレ(和式)と洗面所がある。
車両のとなりに炊事場がある。
(車両内は禁煙かつ火気厳禁だが、外でお湯を沸かしたりすることは可能)
そしてこのスペックをもって無料で、18時の受付を過ぎても、誰か先客がいれば(今回の私のように)宿泊施設である車両は開いているので、何時でも泊まれる。実際、先日泊まった時は、21時頃に来た人もいた。
定員は畳が11枚並んでるので11人だと思う。私は7~8月のシーズンに来たことがないので真夏シーズンの混み具合はわからないが、9月中旬以降のシーズン末期は1人2畳くらいのスペースは使えると思う。
このようにすばらしい宿泊施設を無料で提供してくれる道の駅おこっぺの方には頭が下がる。
来年来た時も是非お世話になりたいと思う。
ただ、おこっぺで残念なのは食事をする場所かほとんどないことだ。ハイシーズンならばそのようなこともないのかもしれないが、観光客は物珍しそうに古い客車を眺めてはすぐに行ってしまうので、ここで食事をする人はほとんどないようだ。
その結果、食事処が育たず、ルゴーサエクスプレス号に泊まる人もセイコーマートの食事で済ますことになる。
セイコーマートはたいてい、6時~24時なので、まあ困ることはない。
おこっぺもそうなのだが、セイコーマートの目の前にローソンある。
両方並んでいたら、同じ品物でもセイコーマートの方が安いので、皆セイコーマートに行くと思うのだが、どうなのだろう。