ライダーハウスは全国にあるようだが、北海道以外のライダーハウスについて、私はあまり聞いたことがない。北海道にバイクで行ったことがある人なら知らない人はいないだろうし、逆に北海道にバイクで行ったことがない人ならば、知らないのが当たり前かもしれない。
いつからライダーハウスと呼ばれるようになったかはわからないし、何をもってライダーハウスと呼ぶかはわからないが、自転車やバイクだけでなく、徒歩(電車)の人も泊まることができる安い宿で、無料から1500円程度で泊まれる宿のことを一般的にライダーハウスと呼ばれている。
2018年の北海道ツーリング本によると、北海道内の各地に30件ほどのライダーハウスが掲載されているので、それくらいはあるようだ。
通年営業のところもあるが、早いところでGWくらいからオープンし、多くは9月末か10月末くらいで営業を終わるところが多い。
ライダーハウスはどのようなところか。
バックパッカーが集まるのがゲストハウスであるのに対し、自転車やライダーが集まるのがライダーハウスと言えるだろうか。基本的に相部屋で、ベッドだったり、雑魚寝だったり、寝袋持参だったり、消灯時間があるところもある。風呂はないところが多いが、五右衛門風呂があったり、温泉や銭湯が近くにあったりとさまざまだ。事前に電話予約をしなければならないところもあるが、当日駆け込みOKのところが多い。炊事場があるところもあれば、食事を用意してくれるところもある。コインランドリーや洗濯機があるところも多い。
なにより、ゲストハウスが2000円~4000円くらいなのに対し、ライダーハウスが無料~1000円程度であることがうれしい。ゲストハウスもライダーハウスも宿泊客同士で自然と交流が生まれる点は同じだ。
長期休暇をとれるのは学生であることが多いので、年齢層は20歳代が多いと思うが、私のような50歳近いのおっさんもいれば、60歳過ぎの方、中には80歳を超えて原付二種で旅をしている方もいて様々な話が聞けて楽しい。
ライダーハウスには2人~4人くらいのグループで来る人もいるが、単独旅行の方が多い。もちろん少ないが女性の方もいる。談話室のようなところでお酒を飲んだりしながら、旅行の情報交換をするのもライダーハウスの醍醐味である。知床で一緒だった人と何日か後で宗谷岬でばったり出会うなんてこともよくある。
ライダーハウスは7月~8月の学生が夏休みの間は込み合うが、9月下旬ともなると他のライダーもいなくて1人で貸切状態になることも珍しくない。ライダーハウスの醍醐味は知らない人との交流にあることはもちろんだが、のんびりと1人で自由に過ごせるのも悪くない。
列車の車両の内装を畳に改修してライダーハウスにしているところや、駅舎がライダーハウスになっているところもあり、こんなところに泊まれるんだと思えるところも多い。もちろん、自分には合わないというライダーハウスもあるかもしれない。だが、来年も行きたいと思えるライダーハウスに出会えることもあるだろうし、来年は違うライダーハウスに行ってみたいというのも楽しいだろう。
昔は100件近くあったであろうライダーハウスも、管理人の方の高齢化や宿泊客であるライダーのマナーの悪さなどから、やめてしまうライダーハウスも多いという。
管理人の方に、もうライダーハウスは閉めたいと思わせるようなことがなく、末永くライダーハウスを運営していただけるよう 、最低限のマナーは守ってお世話になりたい。
火気厳禁だったり、ゴミの持ち帰りだったりライダーハウス固有のルールというものがあるところも多いので注意が必要だ。
テントを寝袋を持ってキャンプするのも楽しい。
もちろん、ライダーハウスだけでも楽しい北海道ツーリングになると思うが、テントと寝袋を持っていくと旅の幅が広がる。350以上あるとも言われる北海道のキャンプ場もまた無料で使わせてもらえるところもあり、満天の星空が広がるところも多い。
私は今年で3回目の北海道ツーリングをしたが、具体的な計画を立てたことは一度もなかった。もちろん知床に行きたいとか利尻に行きたいとか予定は立てていたが、宿の予約は一切していない。天候次第で行く方向を変えたり、ライダーハウスで知り合った人から聞いて、秘境の温泉に行ったりしたこともあった。
あまりに居心地がよくて3連泊したこともあったし、センタースタンドで立てていたバイクが倒れるほどの強風で、道の駅から1日中動けないこともあった。
予定通りにいかないことを楽しむのもまた北海道ツーリングである。
だから、また来年も来たいと思えるのかもしれない。